市販されているメッシュWI-FIルーターの性能比較-APの選び方(前編):電波強度の比較

Allion Labs/ Ryan Huang

メッシュWi-Fi対応のAPはどれも高価なため、自分が必要な機能の備わった製品を選び出すのはなかなか難しいことでしょう。今回は3種類のメッシュWi-Fi対応ルーター(Netgear Orbi RBK50、Asus Lyra MAP-AC2200、eero Pro Wi-Fi System)をピックアップして、それぞれの性能を検証してみました。製品仕様、無線カバー率、通信性能をそれぞれ計測し、どの機種が一番安定したメッシュWi-Fi環境を確保できるか確認していきたいと思います。

  • 基本仕様比較

 

基本的な仕様面だと、この3つの製品はいずれも大差ありません。アンテナ数から見れば、Netgear Orbi RBK50(3×3)が一番多いです。また、Netgear Orbi RBK50の3×3が一番多いです。そのほか、Netgear Orbi RBK50とAsus Lyra、MAP-AC2200には電波強度を測定する機能が搭載されており、メッシュWi-Fi APを設置する際の参考となるでしょう。

  • 無線カバー範囲の比較

三種類のWi-Fi APを開放的なオフィス環境に設置し、電波強度をヒートマップで表示させて比較していきます。Netgear Orbi RBK50は、ルーター1台とサテライトAP1台のセットで販売されているため、今回の検証ではセットで検証しています。まず、三種類のルーターを同じ場所に設置し、信号強度を測定します。その結果に基づき、メッシュWi-Fiの設置場所を決めました。

ヒートマップの色について、赤は信号強度が強く、青は弱い部分です。白い部分は信号無しということになります。検証環境の中心に帯域を2.4GHzに設定したルーターを設置した場合、右上に紺色に囲まれる白い死角エリアが確認できました。環境内の電波干渉によるものだと考えられます。一方で帯域を5 GHzに設定した場合、Netgear Orbi RBK50のカバー範囲が一番優れていることが分かります。

次は、信号強度が約-50dBmの状況(少し弱いが、繋がらないわけではない)で、できるだけルーターから離れた場所にメッシュWi-Fi APを設置してみました。

Netgear Orbi RBK50の右上にメッシュWi-Fi APを設置すると、死角エリアがほぼなくなっただけでなく、ほとんどのエリアの電波強度が黄色以上をキープするようになりました。それに対し、Asus Lyra MAP-AC2200とeero Pro Wi-Fi Systemの場合、メッシュWi-Fi APを一つ追加しても、強度不足を表す青いエリアは残っています。より良い通信環境を確保するため、二つ目のメッシュWi-Fi APを追加しなければなりません。

  • パフォーマンス(通信速度)の比較

無線のカバー範囲は分かりましたが、それではこの三つのメッシュWi-Fi APの環境下では、電波強度が強・中・弱の場合、それぞれの通信速度はどうなるでしょうか。検証するために、我々はAPを設置した場合のヒートマップの測定結果を参照しながら、各製品の信号が強・中・弱になった場所でスループットの数値を測定し、一番優れた製品を特定します。

 

(上図参照)信号が強・中の場合、通信速度が一番早いのはNetgear Orbi RBK50ですが、弱の場合はAsus Lyra MAP-AC2200が1位となります。

上記の三つの項目の検証結果で分かるように、メッシュWi-Fi APの設置において、APを多く設置すればするほど電波強度が強くなるわけではなく、設置距離や外部信号などの要素も考えなければなりません。各製品の仕様と機能を理解したうえ、実際に測定してみなければ、接続の問題点と潜在的な要因を特定することは難しいでしょう。

今回はここまでとなります。後編の記事ではユーザーシナリオをシミュレーションし、各メッシュAP製品の設置しやすさ、アプリ機能の比較、メッシュAP特有のローミングとステアリング機能の比較といった、実際の運用面から見た性能評価の結果を見ていきたいと思います。