Allion Labs/ Ralph Liao
Type-C規格は、これまでのUSB規格が備えていなかった機能(映像出力・充電・音声出力・ネットワーク接続など)によって注目を集め、普及し始めるようになりました。多くの機能を持つType-Cではありますが、実際使用してみると問題点が多く、デバイスが対応していないといったトラブルがよく見られます。このようなとき、ユーザーに状況を通知するBillboardは有効な機能と言えます。
- USBU-IFがBillboardを定義
2014年、USB-IF協会はPower Delivery v2.0規格の発表と同時に、従来のUSB ClassにBillboard Device Class v1.0という新しいクラスを定義しました。
- Billboardとは
まずはType-Cの動作モードについて紹介します
≫Alternate Mode
PD充電、映像出力など(DP Alt Mode)
≫Billboard Device Class
Alternate Modeをサポートしているデバイスが、サポートしていないホスト機器に繋げられた場合、USB Billboardにアクセスします。Billboardは使用状況を通知するためのもので、ユーザーにデバイスがAlternate modeに対応していないことを教えてくれます。
- Billboardが出るタイミング
デバイスが正しくつながり、Alternate modeをサポートしている機器として認定されたとしたら、例えばType-C規格に対応したディスプレイをType-Cを通して接続した場合、デバイスマネージャーはディスプレイとして正しく認識できます。このときはAlternate modeで通信をしており、画面が正常に表示されます。
それに対し、Type-C規格に対応したディスプレイをType-Cを通して接続したがAlternate modeとして正しく認識されなかった場合、OSはデバイスをUSB Billboard deviceとして認識します(図1 参照)。
図1
デスクトップの右下にBillboard messageが表示され、ユーザーにデバイスの状態を知らせます(図2 参照)。
図2
- Billboardモードに入るには
Billboardは、デバイスがうまくAlternate modeに切り替わらないときにはじめて表示されます。
≫Alternate modeの通信終了後にAlternate modeで動作できないことが判明するとBillboard deviceが表示される
≫tAMEtimeout(タイマー):通信が5秒内に終わらなかった場合、直接Billboardモードに入る
≫デバイスがメーカー定義の静的機能リストを使用する場合、Billboard deviceはAlternate modeに入る前に出現し、そのデバイスをUnspecified Errorとして認識する
≫デバイスがAlternate modeに入っても、Alternate modeで作動するときエラーが検出された場合、Billboard messageが表示される
≫USB Type-C同士の通信中、何らかの理由でAlternate modeが解除された場合、Billboard messageが表示される
- Billboard messageはどのように表示されるか
Billboard messageはBOSディスクリプタに保存されるユーザー定義の文字列です。つまりAlternate modeに入れなかった場合、システムはデバイスのBOSディスクリプタからメーカー定義の文字列を呼び出し、Billboard messageに表示します(図3~5 参照)。
図3
図4
図5
- どんなときにBillboardが表示されるか
アリオンがこれまで行ってきた検証実績から、Billboardが表示されるのは下記の2パターンあります。
≫Type-C to Type-A USBケーブルを使用した場合(図6 参照)
図6
通信速度が遅いType-Aコネクタを使用したため、Type-C to Type-CしかサポートしていないAlternate modeに入れず、Billboard messageが表示されます。
≫使用しているシステムのType-CポートがAlternate modeに対応していない場合(図7 参照)
図7
システムが古くAlternate modeをサポートしていないため、Billboard messageが表示されます。
Type-C規格は将来、多くのPCと家電製品の共通規格になる可能性が濃厚です。Alternate modeに入れないデバイスの場合、高速モードで通信していないことをBillboardで正しくユーザーに伝えることはとても大切です。